南勇次郎商店の職人たち
弊社は、数少なくなりつつある昔ながらの畳職人の育成に力を入れております。
畳職人歴 62年
後藤 忠義
なぜ畳職人に?
自分は彫刻だとか、大工仕事だとか作るものが得意。
学校では彫刻とか民芸品の仕事をやりたいと思っていたけど、先生に
「函館の町の中には(そういう仕事は)ない」って言われた。
(通学の行き帰り途中で、いつもお使いを自分に)頼む人が
「お前就職先ないのか。畳屋で良かったら」って。
気持ちはすごくいいとは思わなかったよ。
畳の職人になるなんて夢にも考えていなかった。
畳職人になってからは?
実際務めて見習いやって3年半ぐらいか経った時、月2回手にテカワをつけて
畳作りさせてもらった。
一人前の人だったら糸引くだけで(畳の厚さを)加減しちゃう。
自分たちはできないから、厚い所と薄い所とができる。
社長が見て、「これは誰が作ったんだ」「これだったら売り物にならない」って。
そうやって言われたときは、やめようかなって思った。
でもまだどこにも(他に)行く所が無いから、そこで黙って働いていた。
そこで段々やっているうちに、針の使い方の練習やってね。
ある時何十枚も店の中に積まれていた壊れた畳を、全部自分の感覚で
ある程度の厚さにして作り上げた。
よそから来た職人にも「誰が仕事したんだ」って褒められた。
褒められたときは畳屋辞めないでこのまま職人なるわな、って思った。
畳を作る時、こだわる所は?
高い表はそうでもないんだけどね、霧をふいてやらないと、針が刺さった時にい草が割れちゃうの。
いくら後から直そうとしても 完全には直らない。それを防ぐのに霧。
あと、古い畳の張替って言ったら、いつも歩くところが窪んでくるのを
ちょっと調整してあげる。
我々の言葉で、畳の床のゴモって言っているんだけどね。
畳床を縫っている糸が、ツーってほどけてくる。そうすると(畳床が)もさっと、膨らんでくる。
頼まれなかったら、時間が掛かる面倒くさいっていうのでやらない人が多い。
やっぱり自分の畳だなと思ったら、一本か二本縫い詰めてやる。